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毛糸
細い毛糸。柔らかな黄色、ハッとする青、思想する緑・・・
穏やかなピンク、静かな灰色、じっとする紺・・・
鼓動する赤、流離う茶色、輝く黒・・・
浸透するすみれ色。

道具があって、健康であって、朝が来れば、
しなやかにリズムを取る手が、指が、目が、彼女が・・・
色を選び形を決め動き出す。

細い毛糸。
選ばれた一本のそれは、痩せた老人の肩を暖め、
熱の無い足を守り、ずらを飛ばす風からずらを守り、
震えのおさまらない手に希望を・・・

日に透けて美しくなびき、
白い股にまとわり、
頬に触れ慰め・・・

細い一本の毛糸。
とても細い毛糸。

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【2011/02/05 23:58】 | Short story | コメント(3) | page top↑
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日焼け止めはキライなんだよ・・
鞄を肩にかけハンカチを握りしめる。

ママ・・おげんき?
わたし・・外に出るのよ。

目的地は遠く辿り着く意味を忘れさせた頃に現れ
わたしを笑わせる。
するべき事が終わり、
笑い疲れたわたしは、それに気付く。

綺麗な緑色の瓶。
弱弱しい老人の様にひっそり・・

それは意思を持った石の様に重く、
中には、
思い出、思い出、思い出、思い出。
ここはキライ?

腕が・・ぶっちぎれるだろうな。
ゲラゲラゲラ・・
気が済むまで笑い終わった後、
瓶を持ち上げる。

綺麗。

持ち帰って話を聞いた。
書きとめるべき事を全て書きとめ、
蝙蝠が遊びはじめる頃には
チョコレートケーキが焼き上がり、
オペラは終わった。

紙を封筒に入れ瓶の蓋を開ける。
吸い込まれた手紙は誰に届くの?

ママ・・・おげんき?
わたし、秘密があるのよ・・
きっと、聞いたら驚くわよ。
驚くわ。











【2009/09/12 01:17】 | Short story | コメント(0) | page top↑
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赤いお花
きったない鉢に入り、店の隅で、ほとんど腐りかけて、
全てを諦めていたあなたに会い、
少しだけの赤に気付き、貰ったも同然の値段と、
金を取るのか?と言う気持ちと、綺麗なものばかりを世話し、
ゴミならゴミにしてあげればいいものを醜いままさらして置く店主を軽蔑し、
あなたを連れて来た。

腐った葉を取り、硬くなった土をほぐし、
たっぷりの水の中で根を洗い、
柔らかい土で包み美しい鉢に入れ、
輝く太陽の中に出した。

少し恥ずかしそうなあなたに、
綺麗ね、綺麗ね、
何度も励まし、大きく伸びをし始めたあなたを、
大きな鉢に入れ替えた。

驚きの変貌を見せたあなたは、
美しいたくさんの赤いお花を付けて、
深い緑を取り戻した。

死んでないのに、死んだみたいにされてた事。
こんなに綺麗なのに、
腐らされてた事。

全てが遠い悲しい記憶。
幸せなあなたは、真っ赤になった。
 

【2009/09/07 23:52】 | Short story | コメント(0) | page top↑
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女の子へ・・・
永遠、約束、・・・
愛、信頼、・・・なんて、
彼等は強く、美しく、自由。
少しだけ、少しだけ光をもらって、
大切に持ってて。
いっぱいは駄目なんだよ。

欲しい、欲しい、欲しい、欲しい・・・なんて、
お化けに食べられる。
静かに・・・しーっ、、静かにしてね。
黙って、じっとして、動かないで。
彼等は強く、美しく、自由。

そっと、聞いてみて、
聞こえるでしょ?
・・・・・・・・・・・・・・・・・ほらね、

キライ、キライ、キライ、キライ・・・あーあっ、
もう駄目だよ。
残念でした。

彼等は強く、美しく、自由。
彼等は誰の者でも無く・・とても自由。
駄目だよ。


【2009/08/13 00:17】 | Short story | コメント(0) | page top↑
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望遠鏡
お誕生日だね。欲しい物は?

望遠鏡を手に入れた。
夕焼けでピンクに染まった空を見上げ宇宙船に片手をあげた後、
7粒で7色の薬を飲み、とても細い針で果てしなく編み物をする。
開け放った窓から金木犀が入ってきた。
目の前の大きな木。私の鳥はそこへ引っ越した。先月。
困った事になったら来て・・・木をじっと見詰た。

何か・・居る。
金色のリボンを解き、望遠鏡を出した。
大きな木を見て思わず手を伸ばした。
30cm位の人の形の何かが望遠鏡でこっちを見ている。
片手をあげると向こうもあげた。
望遠鏡を目から離すと目の前のユウカリの黄色の鉢に座っていた。
ペンギンの赤ちゃんみたいにフワフワの薄いグレーのそれは、
均整の取れた人型。30cm位。
体に合った大きさの私と同じ望遠鏡を持っていて、
至近距離から私を見る。
顔は無かった。

「何で外へ出ないの?」それは鳥の囀りの様にプルプルと言った。
「変なのばっかりだから」・・・
「へー、知ってるんだね、色々な事を」プルプル。
「まあね。小さい頃からずっとだよ」
「手続き上・・何の間違いも無いはずなんだ、
大変だろ?色々・・平気?かなーと思って見てたんだ。
優しい人と居るね。それは安心。
何か、困ってないかい?」プルプル。
「とくに・・・」
「あと、50年位あるけど、平気?」プルプル。
「優しい人と一緒?」
「うん。あ、でも先に死ぬ」プルプル。
「・・・」
「平気さ、48年後。」プルプル・
「一人の時、来る?」
「いいよ。」プルプル。
「何か飲む?」

立ち上がり瞬きをした瞬間、消えた。
望遠鏡であちこち見たけれど、もう見えなかった。

暖かい飲み物を作り、ゆっくり飲んだ。




【2007/10/10 00:39】 | Short story | コメント(0) | page top↑
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