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お誕生日だね。欲しい物は?
望遠鏡を手に入れた。 夕焼けでピンクに染まった空を見上げ宇宙船に片手をあげた後、 7粒で7色の薬を飲み、とても細い針で果てしなく編み物をする。 開け放った窓から金木犀が入ってきた。 目の前の大きな木。私の鳥はそこへ引っ越した。先月。 困った事になったら来て・・・木をじっと見詰た。 何か・・居る。 金色のリボンを解き、望遠鏡を出した。 大きな木を見て思わず手を伸ばした。 30cm位の人の形の何かが望遠鏡でこっちを見ている。 片手をあげると向こうもあげた。 望遠鏡を目から離すと目の前のユウカリの黄色の鉢に座っていた。 ペンギンの赤ちゃんみたいにフワフワの薄いグレーのそれは、 均整の取れた人型。30cm位。 体に合った大きさの私と同じ望遠鏡を持っていて、 至近距離から私を見る。 顔は無かった。 「何で外へ出ないの?」それは鳥の囀りの様にプルプルと言った。 「変なのばっかりだから」・・・ 「へー、知ってるんだね、色々な事を」プルプル。 「まあね。小さい頃からずっとだよ」 「手続き上・・何の間違いも無いはずなんだ、 大変だろ?色々・・平気?かなーと思って見てたんだ。 優しい人と居るね。それは安心。 何か、困ってないかい?」プルプル。 「とくに・・・」 「あと、50年位あるけど、平気?」プルプル。 「優しい人と一緒?」 「うん。あ、でも先に死ぬ」プルプル。 「・・・」 「平気さ、48年後。」プルプル・ 「一人の時、来る?」 「いいよ。」プルプル。 「何か飲む?」 立ち上がり瞬きをした瞬間、消えた。 望遠鏡であちこち見たけれど、もう見えなかった。 暖かい飲み物を作り、ゆっくり飲んだ。
【2007/10/10 00:39】 |
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見た目の美しさに負け・・身も心もズタズタ。身を切る思いで逃亡。
やはり理性がある限り自己防衛はやむを得ない。 心。自分にとって一番綺麗に整えておきたい部分なのだ。 そこをぶっ壊すわけにはいかない。 得意の逃亡。 大好きなのだ・・逃げるのが。突然居なくなるのだ。 水色のトランクを引きずって。 クスクスと笑いながら早足で・・ ドンドンと鼓動でブラウスを弾ませ身震いしながら。 安全な所へ辿り着く頃には、今までの記憶はもう無い。 必要ないからだ。 新しい事が始まり、新しい自分と会う。 暖かい窓辺で刺繍をしながら、フッ・・・と、 何かを思い出す。 ゲラゲラと笑い大きく息を吸い込み伸びをする。 あたたかい。
【2007/08/01 01:23】 |
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小さな箱の中に住んでいる魂は外気にとても弱く
心地よく居たい為 心地よい箱を作り入り 心地よく過ごす 薄い壁から光が透けて入り込み 静かに息をする魂は もう二度と外気に触れることを諦め 誓った とても薄く弱々しい壁は決して敗れる事は無く 外気に触れることは無い 永遠だ 魂は誓ったから 魂の箱は漂い 外気に流され 何処へ向かい 終わりは何なのか 静かに想うけれど 心地よい箱の中は心地よく ずっと 漂うのでしょう
【2007/01/03 02:43】 |
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そこには…四つん這いで、変なリズムで揺れている雅がいた。
雨に打たれ、白目を見開き手の長さに合わせて足が醜く曲がっている。 舌を出し笑っている… 「ヒィーーーーー」 父ちゃんは母ちゃんを抱きかかえたまま腰を抜かした。 ま…さ?俺は思わず呼んでしまった。 「ギョゲェーーーーーーッ」雅は俺めがけて飛んだ! ピーーーーヒョロ、、ピーーーーーピピ、、 気の抜ける音。爺さんだ。 雅はベタッと地面に落ちた。 体制を整え俺を見る、目が合った。 泣いてるのか…? 「家に入れっ!」 爺さんが叫んだ、と、同時に雅が飛び掛って来た! 「ヤバイっ!」 俺は目を瞑った… ボコォッ!!目の前で凄い音がした、 ハッと身を縮めて目を開ける…と、そこには、、 仁王立ちのばあちゃんだ! 雅をぶっ飛ばし爺さんを驚かせていた。 「梅ちゃん…あんた、、」 「油断するんじゃーないよぉー」 ピーーーーーーーーーーーー!!オ?オカリナ?? すると、何処からともなく透けた犬が集まって来た。 腐った臭い、息が…できない… ヒョーーーーーーーーーー、、透けた犬は一斉に雅に飛び掛る。 「グブゥーーッ」 吐く様な声を出した雅は透けた犬に引きちぎられあちこちへ消えた。 俺は気絶した。 夢。 雅の部屋。台所に立ち、テキパキと料理をしている。 色々な道具を使いこなしニッコリ笑って俺を見る。 なんだ?雅、いい匂いだな、、 雅は料理をテーブルへ… 犬!!雅?こ、これ犬っ!! 飛び起きた。 父ちゃん、母ちゃん、爺さん、ばあちゃん、、俺はホッ…って、 ばあちゃん!! 「ばあちゃんっ!!」 「はいよっ、、なんだい、お前には呆れるねぇー 気絶かよっ!あたしゃ忙しいんだよ、じいちゃんを待たせてあるんだ、 これ以上面倒起こさないでおくれっ! あの子の事はキッパリ忘れるんだ、もう会う事は無いよ、 ばあちゃんが近づけなくしたからね…しゃんとおしっ!いいね! これから、ばあちゃんを当てにするんじゃないよ!」 ばあちゃんは第二間接で角を作りグーで俺の頭を殴った。 「あんた達もいつまでもメソメソしてんじゃないよっ、 梅の木、大切にしておくれ、毎年梅酒作って仏壇にあげとくれ、 いつか、また会えるよ、じいちゃんと一緒だから安心しな、 あたしの孫を頼んだよ」 父ちゃんと母ちゃんは泣きながら頷いた。 「爺さん…世話になったよ…向こうで…また…」 ばあちゃんが透けていく、、 「いいよ、分かったばあちゃん、喋るな、透けてるぞ、、おいっ、、」 ばあちゃんは両手で顔を覆った。泣いている。 「楽しかったよ…達者でね…」 ばあちゃんは、どんどん透けていった。 あ、待てばばあ!!何か言わなきゃ、、まだ、待ってばあちゃん!! ばあちゃんは…消えた。 朝日が眩しい… ボロボロの家を明るく照らし、 ボロボロの俺達を優しく包み込んだ。 とんでもねぇスペクタクルだぜぇ… 何時…会えるんだ?ばあちゃん…ありがとな。 あれから、俺達の前にばあちゃんは出て来てくれない。 楽しくしているといいのだが… 俺は随分雅の悪夢に魘され、苦しめられた。 不思議だが、雅が住んでいたアパートは全焼した。 住人は全員無事。全員無事。と報道された。 コーヒーを淹れてくれる雅の横顔を思い出すと息苦しく… あいつの発狂の原因になった犬との生活をぼんやり想像したり… 気の毒に思ったりしたがそれ以上行動を起こす事は無かった。 ばあちゃん… 妖怪。グレーの雨女。 あいつは、愛しい犬に会えるのだろうか? 会えると…いいな… 俺は土砂降りを、とても愛おしく思うんだぜ。 おしまい。。。
【2006/09/09 00:35】 |
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でっ、でかいっ!ビバリーヒルズから吹っ飛ばされて来たみたいな家!
これは運転手さん覚えるわぁ、、と、俺が感心していると、 「ジロジロ見てるんじゃないよっ、貧乏臭いね、こっちだよ」 母ちゃんがその家の脇の細い路地に入る。 ここじゃねぇの?俺は付いて行った。 20m程行くと、なんと言えば…いいのだろうか…はっきり言おう。 すげーボロボロのレトロ感溢れるぶっ潰れそうな家。 が、、ひっそりとあった。 「こ、これ、人住んでんのかよ」 「ばか!聞こえるよっ」 母ちゃんの声がだろォ… 「人知れずってな」 父ちゃんがソーっと言った。 外が騒がしいと思ったのだろう。玄関の明かりが光る。 「あれ?どうしたい?」小柄な爺さんが出て来た。 スキンヘッドで眉毛も無い、鋭く強い目力。 この住まいといい、この爺さんといい、物凄い迫力… どうやら、仲良しみたい? 「いきなりなんだけどねぇ…」母ちゃんが言うと、 「ま、、上がりなぃ」爺さんは笑った。 大昔にタイムスリップした様な家の中は、 大切に使い込まれた物でいっぱいで、俺はキョロキョロした。 「臭うぜ」爺さんは言った。 どうやら、お見通しらしい… 母ちゃんは早口で説明を始めたが、爺さんは、 「とんでもねぇの連れてきたな」俺をジッと見て言った。 母ちゃんは黙った。 「あんた、もう娘さんに会っちゃいけねぇ、 今まで何事も無く済んだのは梅ちゃんが、がんばったからだ。 もう、気がついただろ?梅ちゃんは雨が降らねぇと出て来れねぇ、 今までのタイミングを全部あんたに使っちまった。 このままだと、逝きそびれちまう… ずっとその辺を彷徨う事になっちまうのさ。 あんたに目を付けた娘さんは犬食いだ。 飼ってた犬が自殺してんのが見えるぜ、、 飼い主共々かなり病んでるぜ…一緒になりたくて食ったんだろうが、 狂っちまってる、もう、犬に憑かれちまってる、 脅すつもりはねぇが、外に来てるぜ…四足さん。 鼻が利くからな、あんたら、しばらく帰れねぇぜ」 爺さんはとんでもない事を一息に言うと、お茶の準備を始めた。 お茶なんか、飲んでる場合なんだろうか? 俺もヤバイが、ばあちゃんもヤバイ。 どうしたらいいんだ?! 「嵐の晩だ、梅ちゃんに行ってもらうぜ」 爺さんは、父ちゃんと、母ちゃんを見て言った。 なんだぁ?おい、あなた達も、、引き止めていたのぉ? 「なんだよっ!俺だってな、、ずるいぞ、、この、、」 ちくしょう、涙が出る… 「誰だってな、どーしても逝って欲しくねぇ相手が居るもんさ、 でもな、こればっかりはどうしよーもねぇ。 自分を見失ったらお仕舞いよ。それに、あっちで会えるんだぜ」 爺さんははっきり言った。 「ばあちゃんは、ちゃんと、逝くべき所へ、行けるんですか?」 俺はしゃくり上げながら爺さんに聞いた。 「ああ、梅ちゃんには、どうしてももう一度会いてぇのよ、 迷ってもらっちゃ困るのさ」 爺さんは男の顔で言った。 「雅は、あいつはどうなるんですか?なんで俺に?」 爺さんは悲しい顔を外へ向け静かに言う。 「絶望が見えたんだろ?梅ちゃんが亡くなってすぐだ… つけ回されてた、あんた、気がついてなかっただけだぜ、 隙があったんだな、そう言う時は気を引き締めておかねぇと、 大切な人に迷惑かけるんだぜ、娘さん。元々は人間なんだ、 誰だって自ら進んで化け物になりてぇなんて思っちゃいねぇさ、 歯止…に選ばれたんだろう…でも遅い。食いすぎちまったのさ」 外に、何かいる…俺達はジッと身を潜めた。 爺さんは何やら準備を始めている。 年季の入った茶色のオカリナ?の様な物を持って、 「俺が戻るまで待っててくれ、絶対外へ出るんじゃないぜ」 爺さんは外へ出て行った。 気まずい沈黙を母ちゃんが破った。 「黙っていて、御免よ… あの爺さんは、ばあちゃんの古い知り合いでねぇ 家のじいちゃんが消えちまった時世話になったらしいよ、 ばあちゃんは寿命だったけど、あんまりポックリ逝っちまっただろ? 父ちゃんは抜け殻みたいになっちまうし、 おまえもゾンビみたいな感じだっただろ? ここの爺さんに頼んで…会わせてもらったのさ。 そんなに悲しまれちゃ、逝くに逝けないって言ってたねぇ、 おまえにも言おうと思ってたんだよ、相変わらず楽しかったからね、 そうこうしている内に、おまえにヤバイ事が起こった。 ますます逝きそびれちまったって訳だねぇ… 悪い事しちまったねぇ…」 ばあちゃん…気味悪がってごめんよ、、だって、 あれはねぇぜー、、臭ぇったらよぉ、俺が鈍感なの知ってんだろぉ、 せめて顔見せてくれればよ… 俺は悲しくて、両親の前でボロボロ泣いた。 父ちゃんは横座りで項垂れて泣いている。 「グゲェッー!」 突然母ちゃんがカエルみたいな不思議な声を出した。 俺と父ちゃんは「はっ?」と、母ちゃんを見る。 母ちゃんは白目をむいた。 「うぇーーーーっ!」何だ!母ちゃん! 突然地鳴りと共に雷と凄い雨が家を揺らした。 「大丈夫か?!この家っ!」 爺さんに外へ出るなと言われていたにも関わらず、 身の危険を感じ俺達は飛び出した。 つづく。。。
【2006/09/08 21:48】 |
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